光市と立石孫一郎


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維新を目前にして夢潰えた男

 立石孫一郎この名前をご存じの方は少ないでしょう。では幕末にタイムスリップします。

 慶応2年(1866)陰暦4月5日夜その惨劇の序章の幕は切って落とされた。熊毛郡大和町の石城山を 本拠地とする第二奇兵隊(南奇兵隊)が立石孫一郎・櫛部坂太郎達をリーダーとし、 同隊参謀楢崎剛十郎を殺害し一気に山を駆け下った。

 すでに幕藩体制は矛盾に満ちたものとなり安政(1854)〜慶応2年(1866)にかけて、 一揆は国内各地で続発、経済は極度に混乱し世論は御一新を待ち望んでいたがこの事件(倉敷騒動)は 山口県民衆史の特筆すべき惨劇となった。営舎を駆け下った一行は翌朝遠崎(山口県大畠町)より船で出帆、 備中倉敷(岡山県倉敷市。当時幕府代官所があった。)に攻め上った。

 長州藩によって仕掛けられた戦い(倉敷騒動)は第二次長州戦争の幕開けとなり、一方長州側 も受けてたつ戦いとなったことで討幕の名分を得、歴史は大きなターニングポイントを迎えることとなった。
 一方「倉敷騒動」に参加した隊士たちはこのこよなく愛した墳墓の地で反乱、脱営の罪で斬殺された。
 斬首もしくは闘死しいる者は判明しているだけで53名である。最年少徳山市出身「橋本栄吉」18才は下松市宮原山刑場でその若い命を散らした。  合掌
遺歌一首。

「いまさらに なにかといはむ 武士(もののふ)の 我が真心を知りてたたえよ」

立石孫一郎 関連写真(H11年9月9日撮影)
光市象鼻ケ岬
瀬戸内海国立公園の一角光市象鼻ケ岬
(南奇兵隊はこの室積の専光寺で結成)

地下上申絵図、室積
地下上申絵図、室積(1727〜1753)作成された。
(本物の絵図は山口県文書館にある)

【立石孫一郎の墓】
所在地:山口県光市国道188号島田、島田川畔
光市浅江と島田との間に島田大橋が架かっているがこの川畔にある。彼は慶応2年(1866) 陰暦4月26日現光市立野に給領地をもつ萩藩家老清水家私塾慕義会により千歳橋橋上において襲撃され 落命する。暴徒御処置一件(県文書館蔵)に詳細な検死記録が残る。

俗謡で「正義たてたる立石様をだまし討ちとは情けない」と民衆は囃したてた。

【光市浅江 清鏡寺】
倉敷代官所を襲撃したことで幕府軍の追撃を受けちりじりとなった隊士一行の主隊は熊毛郡上関町祝島 に帰着。残存隊士たちの処遇を清鏡寺住職に相談。清鏡寺住職は、清水家菩提寺長徳寺住職に助命嘆願 の斡旋を頼んだが、長徳寺住職は清水家に密告。清鏡寺に待ち受ける立石以下2名は長徳寺住職の誘いに乗り 千歳橋を島田宿へと足を運んだ。橋半ば東岸に陣どった慕義会(清水家私塾)の連中の一斉銃火をあび落命。同行した 残りの隊士は、やがてピストル自決する。若干23才、若い命を散らした。

第二奇兵隊発祥の地 光市室積の風景

倉敷より帰還した騒動参加隊士のうち慶応2年(1866)陰暦5月3日、この室積の黒磯というところで14名が斬首された。最年少徳山市出身橋本栄吉18才 このおだやかな瀬戸内の海をみるとき彼らの胸中いかばかりかと痛憤の涙を誘う。
彼らのうちのある母は首のないわが子の遺体を涙ながらに背負い自宅につれ帰ったと伝えられている。

主君のため(封建思想)に窮鼠の自刃をとげた会津白虎隊士の墳墓は いまでも香華が絶えないと聞くが御一新を夢見た防州の若い隊士たちに手向ける花ひつとてない。

「いまさらに なにかといはむ 武士(もののふ)の 我が真心を知りてたたえよ」

この若者たちの真心は維新回天であった。
事件の2カ月後の6月、幕長戦争の戦端は切って落とされ、 歴史は大きな転換点を迎えたが、彼ら青年たちは生きて御一新を迎えることはなかった。


第二奇兵隊については次に詳しい ぜひ御参照下さい。 長州第二奇兵隊の悲劇

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